灸療法は我が国の伝統的な民間療法の一つです。艾(もぐさ)を捻って作る半米粒大の艾炷(がいしゅ)を皮膚において点火し、熱刺激の作用で症状の緩和や健康増進を図ります。こりや痛み、冷えの改善だけでなく、胃腸の働きを整えたり、免疫力を高めたりする作用もあります。
艾を直接、肌に載せて点火する灸以外にも、皮膚上に置いたショウガ片や味噌、盛った塩の上に艾の塊を置いて点火する方法もあり、隔物灸とよばれます。ショウガ灸はより温まるとか、塩灸はおへその上で行うと胃腸の働きがよくなるなど特別な効果も期待されます。また、艾を太いたばこのように固めて、肌に近づけて温める方法:棒灸もあります。棒灸で温めながら指でマッサージをする時の心地よさはバツグンです。最近では、台座灸とか温筒灸と呼ばれる手軽な温灸がドラッグストアなどでも販売されています。
セルフケアで行うお灸の具体的な方法や、症状・体質に合ったつぼの位置は鍼灸の先生に相談してみましょう。新潟医療福祉大学附属鍼灸センターが2023年春に開院します。患者様の声に耳を傾けながら、お灸を用いたセルフケア=温活の方法についても発信していきたいと思います。
隔物灸や棒灸、温灸は、心地よい温かさが特徴です。温活で健康な毎日を!
新潟医療福祉大学 鍼灸健康学科 教授 江川雅人