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2022.11.30

アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療

1. アトピー性皮膚炎とは
 アトピー性皮膚炎は、かゆみをともなう慢性的な湿疹を症状とする皮膚疾患です。子供の頃に発症し、成長に伴って軽減するものの、大人になってから再発、再燃することも多い疾患です。アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応や、生まれつき皮膚のバリア構造が弱いことが原因と考えられています。さらに環境の変化やストレスが症状の悪化に関係していると考えられています。治療法としては皮膚を清潔に保ち、保湿しながら、ステロイド外用剤が用いられます。

2. アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療
 しかし、ステロイド剤でも十分な効果が得られずに、副作用の少ない鍼灸治療によりアトピー症状を緩和したいという患者は年々増加傾向にあります。
 鍼灸治療は皮膚症状や体質に合わせた4分類に従った治療、すなわち治療点(つぼ)と刺激方法の選択を行います。さらにアトピー性皮膚炎患者が訴える様々な全身症状に対しても治療を行います。私たちの調査では、「首肩こり」「手足や下半身の冷え」「便秘」「不眠」「イライラ感」などが全身症状として認められました。これらの全身症状は、皮膚炎症状の悪化の前兆として増悪したり、かゆみの悪化とともに強くなったりしました。すなわち、アトピー性皮膚炎とは皮膚のかゆみや湿疹だけではなく、自律神経系や消化・循環機能にまで影響を与える全身的な病気と考えられます。

表1.アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療方法。皮膚症状と体質から4つに分けて治療を行います。

3. アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の効果
 私たちの研究成果では平均25回(半年間)の鍼灸治療により、8割の患者さんにかゆみや皮疹の改善が認められました。また、かゆみや皮疹の改善した患者さんでは血中IgE抗体や好酸球数など血液検査でも改善が認められ、アレルギー疾患としての改善していることが確かめられました。アトピー体質を作り、強いかゆみの原因となっているTh2リンパ球の是正が認められ、アトピー性皮膚炎に対する治効のメカニズムも次第に明らかになっています。

図1.24歳女性。鍼灸治療20回での効果。


図2.22歳女性。難治性結節性痒疹の症例。鍼灸治療70回での効果。

4. 東西医学併用で高い効果を
 アトピー性皮膚炎には皮膚の炎症を速やかに抑えるためのステロイドなどの外用剤と、全身の状態を安定させる鍼灸治療の併用で高い効果が期待できると考えられます。
新潟医療福祉大学では、令和5年春に「新潟医療福祉大学附属鍼灸センター(仮称)」を開設します。アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、是非ご相談ください。

「アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療」は新潟医療福祉大学健康ラジオ617(Voicy)にて配信中です。どうぞご視聴ください。

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